ビッグデータという言葉を耳にする事が多くなりました。日経新聞ではビッグデータに関する記事が2013年は373件ありました。2012年は127件、2011年は12件でした。また、ビッグデータという単語を検索エンジンのGoogleで調べられた回数は、2013年11月は約20,000回、2012年11月は10,000回、2011年は5,000回でしたから、これはもう注目が急上昇中と言って良さそうです。
最近のニュースでは、ヤフー株式会社が「Yahoo! Japanビッグデータレポート」の中で2013年の参議院選挙の議席予測を行い、各政党の議席数を9割程的中させた事に驚いた人も多かったのではないでしょうか。http://event.yahoo.co.jp/bigdata/senkyokekka201307/
実はこれに先立ち、2012年のアメリカ大統領選挙の結果予想で、全米50州における選挙結果を完璧に予測したNate Silver氏がアメリカで有名になりました。彼は政治の専門家でも何でも無く、大学で統計を学び、コンサルタントや野球の分析をしばらく行っていた、政治素人です。その素人が、大方の政治専門家たちのハズレ予想とは対照的に、完璧な予測をしたことがより統計の力を印象付けたのです。
大量のデータを分析することで、
なにやら今までわからなかったことが突然わかったり、
世の中を便利にしたり、「ビッグ」
という言葉から大きな影響力を持ちそうな印象を受けます。
未知の領域にある大イノベーションという訳です。一方で、
こういった技術に対してネガティブな印象を持つ人もいます。
典型的にはプライバシーについての懸念です。
最近ではJRが電子通貨であるSuicaのデータの販売を始めた
ことで、自分の買い物履歴や、移動履歴、
そういったものが全部人に知られてしまって気持ち悪い、
という人もいます。アメリカでは、
Google社によるメールサービスであるGmailの中身が機
械によって分析される事に反発を覚える人も少なくありません。
実際に、
Googleに分析停止を求める裁判も何度か起きています。
私個人はと言うと、まさに今、この原稿をGmailの下書き機能を使って書いています。自分にとって秘密にしたいことを人に知られるのは確かに抵抗がありますが、多くのGmailユーザーと同様(2012年時点で、400万人以上が利用)、利便性のほうが上回るので使用を続けています。
このように技術には良い面もあれば悪い面もあり、一概に善悪を決めつけるのは困難です。ですが、一つだけはっきりしている事があるとすれば、技術の変化は生産性に影響をもたらし、好む好まざるに関わらず、世の中を大きく変える影響力を持っているという事です。
私達の社団法人「日本データサイエンス研究所」は、データサイエンスが社会に与える影響がとてつもなく大きくなる、という認識に基づいて、その良さが最大限社会にもたらされ、逆にそれによる社会的不利益が適切に管理される社会を目指し、データサイエンスの価値の普及や、難しい技術の扱い方、多くのステークホルダーが協力し合えることを推進するために活動していきたいと思います。